第十二回ビジネスに役立つ言葉づかい~間違いやすい敬語その四~

させていただくの誤用第十二回目となる「ビジネスに役立つ言葉づかい」では、間違いやすい敬語「~させていただく」を取り上げたいと思います。

「~させていただく」という敬語は、第十一回で紹介した「よろしかったでしょうか?」と同様に間違えやすいビジネス敬語です。

「よろしかったでしょうか?」と違うのは、日本語的に間違っているわけではないという部分です。「間違いやすい」のであって、決して「間違った」敬語ではありません。

使い勝手が良い言葉なので日常的に使われますが、使う状況を間違うとおかしい敬語にかわるので使い方には注意が必要です。

下記では「~させていただく」の意味や例を紹介していきます。


「~させていただく/させていただきます」の意味

「~させていただく」は、

「相手に許しを請うことによって、ある動作を遠慮しながら行う」

という意味があります。

しかし、「させていただく」という表現は文法的に理解すると「強い意思」を表す言葉とされ、発言時のイントネーションや状況によっては敬語であっても失礼になってしまうこともあります。

例文をご紹介します。

「今月末をもって退職させていただきます。」

この文言だと「会社が引き止めようが、私は絶対に退職する」という意味合いになってしまうようです。会社側からすると一方的に辞めることを宣言された状態になります。

言い直すと、

「今月をもって退職させていただきたく、よろしくお願いします」

が正しい表現となります。

「させていただく」という表現は、目上(会社・上司など権力側)の人間が目下(従業員・部下など権力下)の人間に対して使うのが順当と言うことになり、逆の場合はあまり使われません。

ただし、あくまでも上記は一つの考え方。

前述した「相手に許しを請うことによって、ある動作を遠慮しながら行う」といった使い方も正しいので、どちらが間違っているというわけではありません。

文化庁の敬語指針では、以下の状況に当てはまる際「させていただく」を使うのが適切とされています。

・相手側または第三者の許可受けて行う

・そのことで恩恵を受ける事実や気持ちのある場合

ただし、適切な場合と適切でない場合、どちらもあるので使い方には注意が必要です。

 

利用例

文化庁の敬語指針(40P部分)に「させていただく」について利用例があったので紹介いたします。

1.相手が所有している本をコピーするため,許可を求めるときの表現

「コピーを取らせていただけますか 」

こちらは相手に許可を貰い、自分も恩恵を受けるので上記の使い方であっています。

2.研究発表会などにおける冒頭の表現

「それでは,発表させていただきます 」

こちらの場合は発表する相手に許可をもらう必要が無いので条件に当てはまりません。「それでは、発表いたします」が冗長にもならず正しい表現と言えます。

3.店の休業を張り紙などで告知するときの表現

「本日,休業させていただきます 」

こちらも相手の許可が必要では無いので、2.と同様条件に当てはまりません。

「本日、休業いたします」の方がすっきりしています。


日常でもビジネスでも「~させていただく」は使って問題はありませんが、相手が存在しない、許可をもらう必要がない場合は間違った敬語になってしまうので、注意して使いましょう。

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